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機関投資家の非財務資本開示に関する意識調査結果を公開

~投資家が最も望むのは「人的資本」開示の充実化~

2022.3.30

株式会社リンクアンドモチベーション(本社:東京都中央区、代表:小笹芳央、証券コード:2170)は、機関投資家100名を対象とした「非財務資本の開示に関する意識調査」を公開いたしました。


調査の結果、非財務資本の開示状況に満足している投資家はまだ少ないこと、今後開示が必要な非財務資本としては「人的資本」が最も高く、気候変動対策を含む「自然資本」よりも注目度が高いことがわかりました。また、人的資本のなかでも特に「ダイバーシティ、生産性、エンゲージメント」の開示を望む声が多く聞かれました。

今後もリンクアンドモチベーションは、ミッションである「モチベーションエンジニアリングによって、組織と個人に変革の機会を提供し、意味のあふれる社会を実現する」ことを目指し、従業員エンゲージメント向上に向けた組織の「診断→変革→公表」のサイクルを回す取り組みを支援してまいります。

実施背景

近年、気候変動対策や企業の社会的責任を求める声の高まりによって、ESG(環境・社会・ガバナンス)情報に代表される非財務資本の開示を求める動きが加速しています。2020年8月には米証券取引委員会(SEC)が、上場企業に人的資本の情報開示を義務づけることを発表するなど、欧米では、企業に対して非財務資本の開示を義務化する動きが先行して広がっています。そして、日本でも2021年6月に経済産業省が「非財務情報の開示指針研究会」を立ち上げ、非財務資本の開示に向けた議論を進めています。

今回は普段より投資・運用、投資運用に向けたリサーチ業務に携わっている国内の機関投資家100名を対象にアンケートを実施し、企業の非財務資本の開示状況に満足しているか、非財務資本の中でより開示が必要だと思う項目などについて調査いたしました。

調査概要

・調査の方法:インターネットによるアンケート
・調査の対象:調査会社パネルの「機関投資家、バイサイドアナリスト」を対象
・有効回答数:100
・調査実施日:2022年3月8日〜10日
・調査主体:リンクアンドモチベーション

調査結果サマリー

・非財務資本の開示状況に満足している投資家は全体の3割
・今後、より開示が必要な非財務資本は「人的資本」が最も高く、気候変動対策よりも高い数値に
・投資家の7割が、人的資本は「投資判断に影響を与えている」と回答
・人的資本のなかでも、特に「ダイバーシティ、生産性、エンゲージメント」の開示を望む

 

調査結果

企業の非財務資本の開示状況に満足している投資家は全体の3割
今後、より開示が必要な非財務資本は「人的資本」が最も高く、気候変動対策よりも高い数値に

企業の非財務資本の開示状況に満足しているか聞いたところ「非常に満足(6%)」「満足(23%)」で、満足している投資家は全体の3割でした(図1)。

また、非財務資本の中で、今後より開示が必要だと思う項目については、エンゲージメントやダイバーシティ&インクルージョン、人材開発を含む「人的資本」が最も高く(70%)、次いで、特許や著作権、ソフトウェア、権利等の知的財産権を含む「知的資本」が高い(62%)という結果となりました。近年注目を集める気候変動対策を含む自然資本(29%)を大きく上回る結果から、「人的資本」への注目度の高さがうかがえます(図2)。



人的資本は企業成長に影響を与えると回答した投資家は8割を超え、

投資家の7割が、人的資本は「投資判断に影響を与えている」と回答

さらに、人的資本が企業の成長に影響を与えるか聞いたところ、「はい」と回答した投資家は8割を超えました(図3)。また、人的資本が投資判断にどれくらい影響を与えるか聞いたところ、「とても影響する(31%)」「まあ影響する(38%)」と約7割の投資家が、人的資本が投資判断に影響することを認めています(図4)。



開示が必要だと考える人的資本の項目では「ダイバーシティ、生産性、エンゲージメント」が上位に

30代はエンゲージメントを、50代はダイバーシティ、人材開発を重視する傾向も

開示が必要だと思う人的資本の項目について聞いたところ、全体では「ダイバーシティ(51%)」、「人件費や採用コスト(46%)」、「生産性(43%)」、「エンゲージメント等の組織文化(41%)」という結果となりました(図5)。
年代別に見ると、30代の投資家は「エンゲージメント等の組織文化(58%)」が最も高く、50代の投資家は「ダイバーシティ(53%)」、「人材開発を含むスキルと能力(50%)」を重視するという結果となりました(図6)。

見解(リンクコーポレイトコミュニケーションズ代表取締役社長 白藤 大仁)

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国連責任投資原則に署名した2015年をきっかけに、日本でもESGという観点で企業経営が為されることを一定のガイドラインとしてきましたが、今回の調査結果はそういった数々の非財務資本の重要性を社会に示してきたパブリックな文脈が、社会的な動きになってきたということを実証する調査数値と言えるでしょう。

しかしながら、開示レベルに満足している投資家が30%に至らないことに関しては、非財務指標において信頼性の高い指標を未だ見出せていないことをあらわしています。また、特に開示が必要な非財務資本という調査においては、「人的資本」が最も高く、TCFDやTNFDなどの自然資本よりも高い割合になっていることから、一部の産業にクリティカルリーチする自然資本以上に、全ての産業の根幹となる人的資本に対する注目がより高いことが推察されます。ダイバーシティや生産性などの開示を望む声が多く挙がっているという事実においても、この人的資本に企業が向き合う姿勢を、定量指数で図る術を生み出すことは、社会的に非常に優先順位が高い事案だと言えるでしょう。

岸田首相の政策提言でも声高に叫ばれる「新しい資本主義」の成長戦略においては、財務だけを切り取った短期的な成長のみではなく、非財務資本という名の"未来に繋がる資本"を定量化して見定める"新たな競争"が必要です。

リンクアンドモチベーショングループが創業以来20年間蓄積してきた、企業と個人の相互理解・相思相愛度合いを偏差値化した「エンゲージメントスコア」は、まさに時代が要請する”新しい競争”の指標の一例だと考えております。

今後、人的資本にいかに企業が向き合っているかを可視化し、その課題解決にどのレベルで投資をしているかという事実を公表していくことで、世の中の企業がサステナブルな経営を実現していくことは、社会の公器たる企業組織の使命と言えます。切り取ったファクトだけを公表して満足するのではなく、真の人的資本の定量指数を"新しい競争"として追いかけることによって、次の世代により豊かな経済を受け継いでいくプラットフォームが構築されることが、今の資本市場に求められていると言えるでしょう。

 

従業員エンゲージメント向上プラットフォーム モチベーションクラウドについて

モチベーションクラウドは、8,740社、237万人のデータベースをもとに組織状態を診断し、従業員エンゲージメントを向上するクラウドサービスです。2016年にリリースして以降、業界を問わず、従業員のエンゲージメント向上を目指すリーディングカンパニーに導入いただいており、売上4年連続1位 (※) を獲得しています。サービスの中では「組織状態の診断」に留まらず、「組織変革の並走」、さらには企業の組織状態を資本市場に向けて発信するために開発したエンゲージメント・レーティングによる「組織状態の公表」までを一貫してサポートしております。

▶「組織状態の公表」に関する事例はこちら

また、モチベーションクラウドによって算出されるエンゲージメントスコア(ES)は、「営業利益率」や「労働生産性」との相関も確認されており、その研究データは経済産業省による「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書 ~人材版伊藤レポート~」(2020年9月30日にリリース)にも、活用いただいております。

(※出典:ITR「ITR Market View:人事・人材管理市場2021」従業員エンゲージメント市場、ベンダー別売上金額およびシェアで連続1位(2017〜2020年度予測))

リンクアンドモチベーショングループの概要

・代表取締役会長:小笹 芳央
・資本金:13億8,061万円
・証券コード:2170(東証一部)
・本社:東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワー15階
・創業:2000年4月
・事業内容

組織開発ディビジョン(コンサル・クラウド事業、IR支援事業)

個人開発ディビジョン(キャリアスクール事業、学習塾事業)

マッチングディビジョン(人材紹介事業、ALT配置事業)

ベンチャー・インキュベーション

※2022年12月期より、新しい事業区分に変更しています。
本事業区分における決算開示は、第 1 四半期からを予定しています。

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