良いまちを創るために、人と人との関係性を紡ぐ

舛田 晃 組織開発本部Leading 東京工業大学大学院社会理工学研究科卒 2017.4 Joined

CHAPTER 01 自分が社会に対して
やるべきことは何か

やるべきことを決めて、努力する。努力は決して裏切らない。僕は中学からサッカーを始めて、キーパーに。全くの初心者だった自分も、キーパーに必要な能力を鍛えるためにコツコツと努力を重ねて、高校3年の時には副キャプテンを務めました。真面目が取り柄だった自分は、大学受験も得意科目を軸に工学部を選択し、指定された科目を黙々と勉強しました。無事、合格。やるべきことが決まれば、あとは努力すれば何とかなる。そんな自分を揺さぶるように、2011年3月11日震災が起きました。大学合格発表の2日後でした。テレビに映る惨状を見つめながら、僕は恥ずかしながら初めて「社会に対して自分が何ができるか」を考え始めました。自分のやるべきこと、自分ができることではなくて、社会に対して自分がやるべきことはなにか。今は自分の力では変えられないけれど、変えたいと心から願うこと、挑みたいと奮い立つことは何か。

そんな人生の問いを考え始める大きな転機になりました。結果、大学入学後の学部選択の際には、建築・土木・社会工学の中から、僕は社会工学を選びました。建物自体の造り方ではなく、地域社会やコミュニティの創り方を学ぶことが自分の道だと信じて。

CHAPTER 02 大きな建物を造るのではなく、
小さな本質的な変化を

北陸のとある都市まで毎週深夜バスに乗って通う日々。その人口20万人弱の都市では、まちなかで暮らす若者が減少しているという問題が発生していました。そのことから、若者がまちなかに暮らし、未来へ受け継がれるまちづくりの計画を行政とともにつくることを目的に、現地での調査を行いました。空き家を探し、一軒ずつ電気メーターを確認して、白地図に記載していく。自分の街に具体的にどれだけの空き家があるのか、調査結果を見て住民のみなさんは驚いていました。街に何人が暮らしていて、どこに人は住み、どこに人は住んでいないのか。そんな事実をもとに、住民のみなさんへの働きかけや、意見収集を行うことは地道で、あまりにも時間のかかることでした。しかしそれと同時に、この住民のみなさんと地域との関係を紡ぎなおす活動こそが、「ゆるキャラを作ろう」「大規模な商業施設を作ろう」「景観の良い場所を観光地にしよう」というダイナミックで分かりやすいアプローチよりも、本質的であり自分の性に合っていると感じました。現状を正しく知ったことで、住民のみなさんにも当事者意識が生まれ、そこから小さいけれど本質的な変化を一緒に生み出していく。まちづくりは、建物づくりではなく、人の意識変化や向き合い方の態度変容に起点をおくべきではないだろうか。自分がやるべきことが見えた気がしました。大学院の同期のほとんどが、「街の建物を造る仕事」としてゼネコンやデベロッパーへの就職を目指す中、自分は「人と人との関係性を紡ぐ仕事」として、リンクアンドモチベーションを選びました。

CHAPTER 03 関係性を紡ぐ技術を学び、
まちに還元する

リンクアンドモチベーションでは、エントリーマネジメント部門で働いています。企業の採用活動をモチベーションエンジニアリングという技術を用いたコンサルティングで支援する仕事です。その企業の本質的な存在意義は何か、届けたい人は誰か、伝えたい魅力は何か、どんな順番で誰がいつどのように伝えれば伝わるのか。分析と試行を繰り返しながら、壮大なコミュニケーションの地図とコンテンツを設計していきます。企業の存在意義と個人の働く意味が重なり合うスタート地点を紡ぐ仕事に、難しさと同時にやりがいを感じています。

採用を単なる人員調達と捉えると、人数と能力レベルという人材の量と質だけを追う活動になります。けれど、エンゲージメントの高い組織創りのためのスタートと捉えると、人材の量と質だけでなく、組織とどんな関係性を紡ぐかが重要になります。

自分の人生というスパンで考えれば、リンクアンドモチベーションで培うこの「関係性」を紡ぐスキルを、まちづくりに還元していきたいと思っています。やるべきことが決まれば、努力は決して裏切らない。自分が選んだこの場所で、これからも愚直に努力を続けたいと思います。