顧客事例

臨界点を超える、
その時まで

臨界点を超える、
その時まで

マネジャー

松田 佳子

松田 佳子松田 佳子

Profile

2009年新卒入社。東海支社の立ち上げに参画。2011年、大手企業向けコンサルティング部門へ異動し、大手企業の組織風土変革をサポート。2016年、モチベーションクラウドの大手企業向け部門の立ち上げメンバーとして参画。2019年、同部門東日本エリアセールス責任者へ就任。

“数万人規模の組織を
変えられるのか”

“数万人規模の組織を
変えられるのか”

数万人規模の組織を変えられるのか数万人規模の組織を変えられるのか

大手企業B社では、2013年からモチベーションクラウドの前身である組織サーベイを、組織の健康診断というような形で、2年に1回実施していました。2013年、2015年、2017年と実施していく中で、B社を取り巻く市場環境は大きく変化していきました。請負の事業ではなく、自分たちが社会の課題解決をしていく存在に生まれ変わっていく、社会変化の中核となってトランスフォーメーションを実現するということが、中期経営計画の中でも明示されました。企業自体が「生まれ変わる」という方向に動き出した時、組織変革の起点として選ばれたのが、モチベーションクラウドでした。

私自身、リンクアンドモチベーションに入社して以来、コンサルタントとして大手企業の組織変革を担当していますが、その難しさを身を持って感じてきました。数万人という組織規模、長年の歴史の中で培われてきた文化がある反面、硬直してしまっている部署ごと・拠点ごとの習慣やルール。1つを変えれば全てが変わる、という魔法のような施策は存在しません。ありとあらゆる施策が至るところで実施される一方で、各施策の効果検証を行う術もなく、成果が出たのかわからないまま、組織は疲弊していく。役割分担が進む大手企業様だからこそ、誰しもが良くないとわかっていながらも、ぶつかってしまう壁であり、私達自身も、その壁を壊し越えていくには相当な覚悟とスキルが求められました。

“「伝わらない」
という前提に立つ”

“「伝わらない」
という前提に立つ”

「伝わらない」という前提に立つ「伝わらない」という前提に立つ

全施策の根幹となるモチベーションクラウドの導入についても、B社内では喧々諤々の議論がありました。B社内でそれまで実施されていた「コーチング」と並行して試行した結果、リンクアンドモチベーションがこれまで培ってきた、モチベーションエンジニアリングの考え方に共感していただき、モチベーションクラウドの導入が決定しました。お客様からも「流行りの“施策”をやればいいのではなく、組織づくりの考え方こそが大事だと気付かされました」という言葉を頂き、パートナーとして選ばれる結果となりました。

組織の見える化をするツールは世の中に沢山あります。しかし、大事なのは、結果そのものではなく、その結果をどう取り扱うかです。クラウドによる利便性によって、全社だけでなく各部署、各階層におけるエンゲージメント状態が瞬時に数値として可視化され、人事の皆様が数百時間かけていた工数が解決されました。また、出てきた結果に対して、B社の事業戦略と並行して実施される組織施策の全てを把握した上で、効果のモニタリングとアクションプランの設定を行っていきました。採用や育成、風土変革などワンストップの知見があるリンクアンドモチベーションだからこそ、お客様と膝を突き合わせて、真の課題に向き合い続けることができました。

エンゲージメントスコアというモノサシができたことで、目指す組織状態が曖昧なものではなく、明確になりました。何を目指せばいいのか、が定まることで巨大な組織もようやく動き始めます。ただ、全社を一気に変えることを目指すと、大企業の組織変革は頓挫します。人の数が多くなればなるほど、組織の中のコミュニケーションラインは複雑化し、会社の意図は社員に伝わりづらくなります。「伝わらない」という前提に立つこと。それは諦めではなく、覚悟を持ったスタートラインです。伝わらない、だからこそ、何をするか。

“「変えようとする人」を
絶対に孤独にしない”

“「変えようとする人」を
絶対に孤独にしない”

「変えようとする人」を絶対に孤独にしない「変えようとする人」を絶対に孤独にしない

全社という単位ではなく、部・課という小集団に分け、それぞれの小集団が「自分たちの手で自分たちの職場を改善する」という活動をスタートしました。会社が変えるのではなく、自分たちが変える。1つの巨大な組織ではなく、数百のチームの集合体にわけ、その一つ一つが自ら変わるために動き出しました。サーベイを実施し、チームごとの課題に向き合い、何をするべきか定める。3ヶ月の施策を経て、またサーベイを実施し、効果を検証する。数百のチームそれぞれのPDCAが回り始めました。時に組織状態のスコアがよくないことや、3ヶ月でスコアに変化がでないことに直面することもあります。このような事態は、各チームを率いるリーダーにとって辛いことです。変えようとする人を、孤独にさせない。変化を生み出すリーダーに対して上司は支援を、部下は協力を、という果たすべき役割を明確にし、絶対にリーダーを孤独にしないことを目指しました。また、社内での成果発表会や社外でのアワードなど、「承認」の場をつくりだし、変化へのモチベーションが途絶えないよう、並走を続けました。個人の気合いや想いに頼って限界を迎えてしまうのではく、「組織の文化として定着するサイクル」を構築することで、「続けたい」「孤立させない」取り組みへ。

全社としての組織状態の数値が、なかなか上昇しない苦しい時期が続く中、静かで小さな変化が起き始めました。数百あるチームの内の、数チームのスコアが、確かに上昇を始めました。実施された施策はすぐに全社で共有され、他の数百あるチームに示唆と勇気を与えました。ひとつ、またひとつと、変化するチームが生まれ始めました。組織をひっそりと支配していた「どうせ変わらない」という閉塞感に、「きっと変えられる」という光が差し込む。「変わらない」ことが当たり前ではなく「変えられる」が当たり前になる、臨界点へ。びくともしなかった巨大な組織は、変化する小集団の集合体として動き始めました。「会社が社会の課題解決をする存在へ生まれ変わるために、自分たちはどう変わるか」と数百のチームそれぞれが、自ら考え、自ら動く。「自分のチームは40から70にスコアが上がった。今は全員が誇りを持てるチームになった」「最初は辛かったけれど、スコアを改善していくためのアクションと検証というサイクルが習慣化した」、リーダー自らが確かな変化の手応えを感じるようになりました。また、「自分たちでチームを変えられる」という成功体験をしたメンバーは、活動のエバンジェリストとなり、異動先でも組織改善の旗振りをして下さいました。出会ってから8年、プロジェクト開始から4年の時を経て、B社は現在、日本で最もエンゲージメントの高い企業のうちの一つとなりました。

“組織は必ず変えられる”

“組織は必ず
変えられる”

組織は必ず変えられる組織は必ず変えられる

モチベーションエンジニアとして仕事をして、約10年。今になって、過去にリンクアンドモチベーションと取引があった企業や、私自身が関わった企業の方からご連絡を頂くことが増えています。「あの時はできなかったけれど、今なら変えられるかもしれない」というご連絡です。SDGsやESG経営が求められるなど、大企業を取り巻く環境は大きく変化しています。短期的な事業成長ではなく、企業自体の「あり方」が問われる時代へ。自分たちはどうあるべきか、ということを一緒に考えるパートナーとして、声をかけられることが増えました。経産省や大手証券会社、大学教授の方々とのディスカッションもここ数年で増えています。「デジタルトランスフォーメーション」「SDGs」というテーマの先には、必ず「組織」の話が出てきます。流行りを取り入れることではなく、本質的に企業が変化するためには「組織」が変わらなければいけない。「組織は必ず変えられる」ということを伝え続け、時に頓挫しようとも向き合い続けた先人たちからのバトンを、今私たちが受け継いでいます。20年前、10年前は「どうせ変わらない」と思われていた大企業にも、静かで小さな変化が確かに起き始めています。1年や2年では、決して変わらない。1社が変わったところで、世界が変わるわけではない。けれど、世界が変わる臨界点は、一つひとつの仕事に、一人ひとりに向き合った先に必ずある。臨界点を超えるその時まで、私たちは歩み続けます。