STORIES
自治体の実情をマクロで捉え、
ミクロ視点で改革を推進する


依光 宏太
中小・ベンチャー企業向けコンサルティング部門
マネジャー
2013年新卒入社。中小・ベンチャー企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。全社アワード受賞後、プロジェクトマネジャーとして顧客の上場支援や組織変革を担当。2021年からは地方展開を担う部門を立ち上げ、現在は官公庁のエンゲージメント向上にも取り組む。

三宮 悠
中小・ベンチャー企業向けコンサルティング部門
コンサルタント
2016年に新卒で株式会社ワークスアプリケーションズに入社。日本郵便株式会社を経て、2022年に株式会社リンクアンドモチベーションに中途入社。現在は、中小ベンチャー企業・官公庁に向けたコンサルティングに並行して、データ推進ユニットのリーダーも兼任。
数万人規模の職員を擁する大規模自治体・C役所からのご依頼で、休職・退職者の増加や採用応募者数減少といった組織課題のコンサルティングを担当。膨大なルーティンワークや昔から変わらない組織への諦めが漂うなか、マネジメント意識の刷新や組織サーベイに基づく組織変革を通じて、職員エンゲージメントの向上を狙った。
多くの自治体が同じ悩みを抱えていた。

依光:C役所さまは、休職・退職者の増加と採用応募者数減少に悩まれていました。ただ、その状況はどんな自治体も同じ。労働人口の減少と転職市場の活性化によって、人材はもはや奪い合いなんですよね。民間企業はその傾向をいち早く察して人的資本への投資を始めましたが、波に乗り遅れた自治体は少なくありませんでした。大規模な市区町村合併をきっかけに職員数は減っているのに、東日本大震災以降の災害対策やコロナ禍などを経て業務量は爆発的に増え、労働環境も厳しくなってきて……総務省の号令を踏まえ、各自治体が本格的な人材マネジメントに動き始めたのが、令和3年ごろからでした。C役所さまに当社を改革のパートナーとして選んでいただいたのは、自治体組織への支援実績だけでなく、民間の大規模組織の変革における実績があったからだと思います。
三宮:本当に、多くの自治体が似た悩みを抱えていらっしゃいますよね。そのなかでC役所さまは、他の先駆けとなって大きなアクションを取った印象です。
依光:本当にそうだと思う。C役所さまの取り組みを主導しているのは、風土や仕組みを横串で変えていく「改革推進室」という部署です。だからこそ人事課の一施策にとどまらず、全体を見ながら迅速に動けたのではないでしょうか。
「自治体のリアル」に即した変化のステップを。

依光:課題を把握したあとは、当社が変化を生み出すために大切にしている「UNFREEZE(解凍)→CHANGE(変化)→REFREEZE(再凍結)」のステップに沿って、プロジェクトを進めていきました。まずは、外部コンサルタントである私たちの声を届けやすくするための“UNFREEZE(解凍)”。マネジメントや職員エンゲージメントに関する管理職向けセミナーを通じて、新たな学びを体感してもらったんです。また、業務が忙しいなかでのサーベイ実施にも抵抗が生まれないよう、改革の必要性や組織の方針などを浸透させていく時間も丁寧にとりました。
三宮:そうした下地が整ってから、職員に向けてのサーベイを実施。問いは「組織が掲げる理念や事業への共感」「組織のコミュニケーション状況」「ともに働く人の魅力」「上司と部下の関係性」「将来への展望」などといった16項目の充足度を測るもので、自治体向けに設問の表現をカスタマイズしてはいますが、内容自体は民間企業向けの調査と変わりません。そこから浮かび上がってきたデータを分析し、世の中の傾向や他自治体との差を踏まえながら、“CHANGE(変化)”に向けたアクションの提案を行いました。役割ごとのこれからの動きがイメージしやすいよう、上層部/課長クラスでフィードバックの内容を分けているのもポイントですね。
依光:マクロ視点で結果を伝えたあとは、ミクロ視点の変革を促すために、現場が「これならやれそうだ」と思える型づくりに注力しました。“REFREEZE(再凍結)”のための手法です。
三宮:たとえば「【サーベイの結果】部下が、上司とのコミュニケーション不足を感じている【対策】上司は、個々人の強みや課題を書き出してみる」というように、具体的な動きをマニュアルにまとめました。こうやってスムーズに動ける型が整備されていないと、日常業務に忙殺されて改革の優先順位が下がってしまうんですよね。
依光:しかも、自治体の働き方や組織の状態を高い解像度で理解できていないと、ちゃんと実行につながる型がつくれない。これまでの変革実績やデータから、現場で使えるデザインに落とし込むのが私たちの腕の見せ所です。私たちを選んでもらえる優位性にもつながっていると思います。
自治体から、街を、未来を変えていく。

依光:プロジェクト開始から1年が経ち、ある部署では職員満足度が9ポイントも上昇するなど、じわじわと成果は出てきています。そもそも現状維持バイアスのかかる組織において、一度に全体が大きく変化することはありません。地道な取り組みを通じて少しずつ状況を変える“うねり”を生み、中長期的に全体を底上げしていく。C役所さまとともにその代表事例をつくり、日本に1700ある自治体に拡げていくのが私たちの仕事です。
三宮:私たちのサービスを通じてC役所さまが人材を獲得することだけが、ゴールではないんですよね。働く方々が元気になって役所のサービスの質が上がり、その自治体に住む方々や拠点を持つ企業や産業が元気になる。その先で、国全体にも良い影響が生まれていく。日本中でそんな好循環が広がっていくことを、私も夢見ています。
依光:改革の意志はあるのに手段が見えなくて困っている現場は、まだまだたくさんあります。産学官で連携し、日本全国にお客様を持つリンクアンドモチベーションだからこそ、そうした前線の方々にしっかり寄り添えるんだと思います。社会が変わる一助になれることが、私たちの大きなやりがいです。
